その街は《探偵》を必要としている

「1999年の戦争」が終了し、始まった「新昭和」時代。
戦後日本はわずか14年にして奇跡的な復興を遂げた。
かつての東京市はトキオポリスと名を変え、空前の繁栄を謳歌している。
しかしそれでも、戦争で建造を中断した衛星軌道エレベーター「東京タワー」の再建はならず、
いつ終わるとも知れない修復作業が続けられているばかりだ。
そんな今のトキオを脅かすのは、戦争でも貧困でもない。
怪人(ヴィランズ)と称される、特異な能力でさまざまな犯罪を行うものたちである。
あるものは予告状を出したうえで、厳戒態勢の美術館から秘宝を盗み出し、
あるものは破壊光線を放つ巨大ロボットを駆って都市を破壊し、
またあるものは密室を不可能な殺人で血に染める。
怪人たちの超常犯罪に対抗できるのは、卓抜した頭脳と肉体、技術を、正義の心で駆使する
「探偵」たちだけである。
トキオポリスは日夜、探偵と怪人の戦いが繰り広げられる都市となった。
常人を凌駕する探偵の名推理や大活躍は、人々の喝采と声援を受けてトキオの繁栄を象徴するものになり、
人々を惹きつけてやまない「探偵文化」の華が咲き誇る。
《探偵都市トキオ》……そう呼ばれるようになったトキオポリスで、
今日もまた、謎とロマンに彩られた物語が、新たな幕を開ける。